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Channel: ゆも庵
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グリップの出来るまで

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モデルガンのはなし」のじんぎすかんさんは私の知る中で一二を争う木グリ製作者です。
北海道在住のため、子供の頃は私と同じく雑誌とショップに置かれた数少ないモデルガンを見ながらあれこれ妄想を膨らませていたそうです。
人間、妄想が過ぎると取り憑かれてしまうもので、いい歳して未だにモデルガンファンなのも同じですw

じんぎすかんさんとの出会いは、彼のブログを見て「おっ?!スゴいヤツが居るな!!」と木グリの製作をお願いしてOKしてもらえたのがつき合い始めたきっかけでした。
当初はリボルバの木グリをお願いしていただけでしたが、そのうちカスタムの木グリを頼むようになり、その度
「こんなの自信ない~💦」
「いや出来るはず!」
と相談?しながらと色々と作ってもらっています。

その中でも今回のP210のようなフレーム後部をグリップが包み込むようなグリップは一番作るのが大変とと聞いていましたが、実物でも見たことのないアンビセフティ対応のP210グリップを高品質で作れるのは私の知る限りじんぎすかんさんか徳さんくらいですので、お願い倒してやってもらうことになりました。

じんぎすかんさんのP210グリップの製作過程を時系列に追っていきます。
いつもはじんぎすかんさんがストックしている木材からお任せで作ってもらいましたが、今回は私の手持ちのクラロウォルナットの瘤材で作ってもらいました。

木目が普通とは異なる燃えるような模様になることが多い瘤材なので、これをグリップにしたら面白いかもと思い使ってもらうとにしました。
「人様の木材だと緊張する~💦」と早くも弱音が出ていましたが、作業に入ればいつも通りです。

カマボコ板のようなガバのグリップなら1/2インチ(12.7mm)厚でも製作可能(ここらへんは製作者による)ですが、P210だと1インチ(2.54mm)以上の厚さがないと無理なので、木目(外観で分かる範囲)も考えると選べる木材もかなり限られてきます。
しかし厚けりゃ良いかというわけではなく、今度は目標の厚みまで削る作業が必要(=製作費用が上がる)ので、基本的には木材は持ち込みよりお任せの方が経済的で楽チンです。
じんぎすかんさんはグリップ製作の際に何度もフィッティングを繰り返す(本人談「木材をモデルガンにギューッと押さえつける)ので、製作依頼の際は傷ついて後悔しない作業用モデルを送りましょう。
私のP210カスタムは形状が特殊なので塗装前の段階の現物を送りましたが、作業用モデルとしてノーマルのマルシンP210も同梱しました。

貴重なワンオフカスタムに製作中の事故が起こるとお互い不幸なので、ここらへんは事前に要相談です。
モデルによってはじんぎすかんさんが自前でお持ちのものもあるので、その際は作業用モデルは不要です。
じんぎすかんさんは本業の傍らでグリップ製作を請けてくれているので
「こっちは依頼してるんだからそんなこと製作者が気をつけることだろ」
などと不遜な態度ではなく
「事故無くスムーズなグリップ製作にはどんな準備が必要か?」
と自分もグリップ製作の一端を担っているという立場で考えましょう。
それが無理なら市販のグリップで楽しみましょう。

 先ずはフレームの形に合わせたスペーサーの木材を貼り付けて位置決めします。

 

最近のモデルガンは実物グリップがポン付け可能なものも多く、グリップがピタッと合うことが当然かもしれませんが、グリップをモデルガンに装着するのに苦労した世代にとっては、ピタッと合うグリップというのはとても贅沢な気分になります(^^)

大体の外観を削ったので、カスタム本体を使った調整に入ります。

かなり削り込まれてきました。

グリップ後部の合わせ目もバッチリ合ってます(^^)

木グリのチェッカリングってカレイの煮付けみたいなバッテンで位置決めしてから始めるんですねぇ。

ハンドメイドとNCマシン製作のグリップの大きな違いはチェッカリングだと思います。

正確なピッチで彫られたチェッカリングはグリップの顔なので、機械製作の方が手作業よりも良いように思えます。
機械製作を前提に設計された新しい銃には同じく機械製作のグリップが合うのですが、手作業の工程の多かった昔の銃に機械製作のグリップを取り付けると、手描きの絵画にCG画像をはめ込んだような違和感を私は感じます。

手作業と機械製作のどちらが優れているかではなくそれぞれの向き不向きがありますね。

じんぎすかんさんとそんな話をしていると
「そんなこと言ったって、最近のS&Wだって純正グリップはラバーかアルタモントだし、最近の 3Dプリンタなら個人でもグリップ製作可能になるさ。そしたら俺みたいな昔の作り方しか 出来ないおっさんは近い将来用済みだ~」
と淋しく語るので
「それなら俺がこの趣味続ける間だけでもよろしく!」
とお願いしておきましたw

 完成したチェッカリング。

実物のP210グリップよりもしっかりしたピラミッドが並んでいます。

じんぎすかんさんが米国に生まれてりゃ名のあるグリップマイスターになってただろうにと思います。
50過ぎのオッサンは拡大鏡で頑張って作業してますw



グリップの仕上げにはオイル仕上げかニス仕上げがありますが、これはお好み次第です。
木材によっては仕上げにより色味が変わったり、木目が強調されてイメージと異なる場合があります。
ここらへんは経験を積まないと予測は難しいですが、自然の材料なので「おっ?こうきたか!」と楽しめる心のゆとりが必要です(^^)

 グリップの製作は粗方完了して、後は仕上げを残すのみです。

P210グリップはオイル仕上げでお願いしました。

 

ここまで書くとオリジナルの木グリの製作を頼むことは面倒とリスクがあるので、市販のグリップとのコストパフォーマンスはかなり悪いことは明白ですね。
実物グリップ至上主義な人だけでなく、こんなに手間と費用をかけるくらいなら頑張って高価な実物グリップを買った方が確実、という考えも尤もだと思います。
しかし私はオリジナル木グリをモデルガンに取り付けたときの喜びが忘れられないので、相変わらずじんぎすかんさんに無理を言ってますw

もしあなたが上記を読んでも
「自分のお気に入りのモデルガンのためにオンリーワンの木グリが欲しい」
と思うのなら、じんぎすかんさんに問い合わせてみて下さい。

ギャグセンスは昭和でフリーズしているおっさんですが、結構スゴいヤツですよ(^^)


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