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Channel: ゆも庵
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はじまりのカスタム

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モデルガンブームの80年代前半、専門誌には全国のショップのカスタムモデルガンの広告が賑わせていて、私はそれを読むのが楽しみでした。

そんな頃、SWATでも手先の起用なおいちゃんが裏の作業場に籠って時折パンパンと発火音をさせていました。

私がいつものように学校帰りにSWATに寄り、おいちゃんが飲みきれなかったコーヒーサーバーからコーヒーを注いで、店番しながらハイジの再放送を見ていると、おいちゃんが裏から出てきて「これ撃ってみろ!」とスズキのガバを手渡されました。

おいちゃんが普通のガバを私に撃ってみろなんて言うはずないので、これは何か訳ありだな~とは思ったものの、好奇心から「そんじゃ撃つねー」と発火させると、ノーマルよりも大きな発火音とガツンとくるショックが!?

「これ何?!」と聞くと、おいちゃんは「SWATオリジナルのカスタムたい!」とニャっと笑ってました。

今のオートのモデルガンでは当たり前になったセンターファイヤ(以下CF)も当時はメーカの自主規制でサイド発火ばかりでした。

私がホールドオープンしているガバのスライドを覗きこむとやはりCF加工されているので、

「SWATもガバのCF加工やると?」

と聞くと

「カート見てみろ」

と言われ、排莢したカートを拾ってみると、見た目はノーマルカートのようですが、プライマー部分が窪んでいて小さな穴が開いてます。

「これって、後撃針カート?」

と聞くと、おいちゃんはまたニヤリ。

こんなカートは初めて見たので「こりゃすげー!」と興奮しました(^^)

なぜ地方のショップがオリジナルのカートまで作ってカスタムガバを作ったのか?

現在おいちゃんに聞いても「もう忘れた」と教えてくれませんが、なにか突き動かされるものがあったのでしょう。

その後もモデルガンとカートの発火試験は続き、私と当時の常連たちは発火試験につき合わされることになりました。

SWATのオリジナルカスタムは「パワーBLK」と名付けられ、発火好きなお客さんに売れました。

ブログのネタにしようと思っても、パワーBLKは貧乏な高校生には手が出せない価格だったので私は持ってませんでした。

おいちゃんにパワーBLKを貸してほしいとお願いすると、当時のサンプルはボロボロになるまで発火しまくって手元には一丁も残っていないとのこと。

発火が売り物のカスタムだけに現存するパワーBLKにはお目に掛ることはないだろう諦めていました。

そんなあるとき、Yさんからの情報提供のおかげで未発火のパワーBLKを入手することができました!

30数年ぶりに再開したパワーBLKガバがこちら。

発売当初はスズキのガバでしたが、その後マルシンガバをベースにしたのでこれは後期の製品ですね。

外観で分かりやすいのはノーマルのリコイルプラグを長興製のリコイルスプリングガイドに交換されています。

これはスライドのスムーズな動きを得るために必須のパーツ交換で、その後の私のGM5には全てスプリングガイドが入ってましたw

今のモデルガンでは当たり前ですが、ライブのファイヤリングピンがCFの証でした。

ブリーチを見ればメーカ純正でないことは一目瞭然で、昭和のモデルガン小僧は「すげぇ!」と唸りました。

ブリーチを分解するとオリジナルのファイヤリングピンが。

SWATの作業場にはこのファイヤリングピンが大量に転がってました。

バワーBLKの大きな特徴である後撃針のオリジナルカートリッジ。

プライマー部分の紙火薬からカート内部のキャップ火薬を発火させる仕組みで、メーカ純正のカートより重いです。

添付の取扱説明書には、7mmキャップの中身を2~3粒とプライマーの紙火薬一粒が必要とありますが、テストでは7mmキャップ5~6粒での発火テストもクリアしていました。

快調なブローバックにはスムーズな作動が必須と、おいちゃんは調整に時間をかけていました。

キャップ火薬の中身の出し方の図解です。

おいちゃんはこれを毎回手書きしてたのかな?

パワーBLKにはオリジナルカート8発とプライマー作成用のパンチとリム部の掃除用のピンが付属していました。

パワーBLKの後、SWATはサバイバルゲームブームで迎夢X-1など多数のショップカスタムを発売します。

モデルガンのカスタムはパワーBLKのみでしたが、身近で見ていた私は多大な影響を受けました。

今も仕事に色々な趣味にとエネルギッシュなおいちゃんにはまだまだ元気に活躍してもらいたいです。


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