イナーシャセンスのマルシンM586用7ショットシリンダーは目の付けどころが秀逸な製品です。
モデルガンのリボルバ用シリンダー製作は素人じゃ手が出せないので、早速購入しました。
ほぼシリンダーの交換のみでM586が7連発になる優れた精度でとても満足です。
しかし...シリンダー交換して「はい完成」じゃブログをご覧の皆さんも全く面白くないでしょう。
あと一捻りして好き者をニヤリとさせるには...
と考えていると、Yさんが話していた
「このシリンダー、MGCのM586にもいけるような気がするんだけど、試せるパーツが無いんだよなぁ」
という言葉が浮かんできました。
「これだっ!」と手持ちのMGC製M586を引っ張り出してYさんに託しました。
7ショットシリンダーをMGCのM586に組むにはマルシンM586のヨークとエジェクターロッドが必要なので、これもジャンクから探して送りました。
しかし、Yさんにとっては暇つぶしみたいなカスタムのはずが、実は結構な難敵でした。
届いたヨークとエジェクターロッドで7ショットシリンダーを組んでみると、Yさんが試験的に組んだときと異なり作動がかなりギクシャクして、このままじゃ組めないとのこと。
先ずエジェクターロックを削ってロックが掛かる様にしたら、割と動くようになりました。
こちらがエジェクターロックを外した状態。
こちらがロックを削った状態です。
ロッキングロッドの径が大きく、フレームになかなか入ってくれないのと、やはりロッキングロッドがラチェットから出すぎてるのか、スイングインにかなり抵抗があるのを改善せねばいけません。
マルシンのヨークのラインがMGCのフレームと合ってないので削らなきゃいけません。
Yさんから「これが作動不良の原因だ!」と送られてきた画像を見ると、エジェクターロッドの穴がかなり偏芯してます!
マルシンM586には作動不良な個体が多く見られたのは、こんな品質管理の甘さが原因だっかもしれません。
しかしこればっかりはちゃんとしたエジェクターロッドを組まないことには進まないので、またジャンクを探して穴がセンター(当たり前)のエジェクターロッドをYさんに送りました。
MGCのフレームにマルシンのヨークをセットしても、マルシン、MGCどちらのサイドプレートスクリューでもロックされません。
ヨークのフレームに入る方のアームに、アルミパイプで作成したスリーブを入れてガタつきを無くすと、マルシンのスクリューを使ってロックできました。
上の画像はヨークのフレーム軸にアルミスリーブを取り付けています。(上がMGC、下がマルシンのスクリュー)
因みにスリーブを入れないとアームが斜めになってマルシンのスクリューでもロックされません。
左からMGC M586のヨーク、MGC M586に組込み可能したマルシンのヨーク、マルシン M586のヨーク。
穴がセンターのエジェクターロッドがYさんに届き交換したところ、前よりはマシになりましたが、何故かYさんのシリンダーと比べると、エジェクターロックロッドがフレームの穴に中々入り込んでくれません。
入ったら入ったで、サムピースを押してスイングアウトしようとしても、サムピースが動いてくれないくらい固くなってしまいます。
これは、今までヨークが若干斜めになってエジェクターロックロッドがフレイムに入っていたのが、ヨークにスリーブを入れた事でガタつきが無くなり、入らなくなったと考えられます。
よって、ヨークのフレーム側の面を若干削ってよりフレームに嵌まり込むように加工します。
Yさんは今回の動作不良の原因を、マルシンのシリンダーの中心がMGCのフレームの穴より若干下にきてるのかと推理して、試しにヨークにビニールテープ貼ってシリンダーの中心位置を上に持ってきたら、作動が劇的に改善しました!
これで解決したと思ってサイドプレートスクリューを付けたらまた動きが悪くなるので、他にも原因があるようです。
ここまでの改良で基本的にシリンダーをスイングインすれば動きはしますが、たまにしかエジェクターロックロッドが完全に入ってくれないので、ごく稀にシリンダーが回らないこともあります。
YさんがMGCの船越店長に動作不良について相談してみたら、MGCのM586のフレームが歪んでる可能性もありますとのこと。
MGCで聞いたフレームの歪んでいる箇所をペーパーがけ、ヨークのパイプ内側を削り、エジェクターロッドの内側を削ったら、問題なく動くようになりました(^^)
左が今回加工したマルシン→MGC M586組み込み用ヨーク、右がノーマルのマルシンM586ヨーク。
今回加工したヨークの上部に見える黒い盛り上がりは黒い瞬着で、これでシリンダーが上に持ち上がっています。
加工したヨークのパイプ部前方に、細い金属の輪が付いているのが見えるでしょうか?
この輪っかがないと、シリンダーがフォーシングコーンに当たってしまいます。
エジェクターロックロッドの突出量について、今回の加工では少し短く加工しています。
こちらがノーマルのマルシンM586の突出量。
こちらがMGC M586に取り付けるために加工したエジェクターロックロッドの突出量。
これは、MGCのリコイルシールドのロッドを受け入れる所の窪みがマルシンより少ないためで、エジェクターロックロッドの後部にスプリングをひと巻き入れて対処してます。
ヨークのライン整形も完了しました。
これでMGCのM586も7連発になりました!
YさんのマルシンM586(7ショット)と。
軽いノリで考えたカスタムですが、詰めていくとこれだけの手間がかかり、Yさんにはご苦労掛けてしましました<(_ _)>
「そのままマルシンのM586に組めばよかったんじゃないの?」と言われそうですが、こんな誰得なカスタムもたまにはいいんじゃないでしょうかw